ぼくの見ている世界

Waka Kobayashi/感じたことを記録として書いていきます。

偽カミングアウトレポート考察

****偽カミングアウトレポート考察****
関学の授業で行った偽カミングアウトレポートの考察を書きましたので、ぜひ、「セクシュアリティに関する研修」もしくは「LGBTQに関わる研修」などをされている方には参考にしていただきたいと思い、担当の武田先生に許可をとりましたので共有したいと思います。シェアしていただいても構いません。
これまで塩安さんが進めてこられたこの課題を引き継いでやっています。とても意義のあるものだと思います。ただし、10回以上あるセクシュアリティに関する連続講座の中で行われるからこそ意義があるとぼくは考えています。
過去のレポート考察は塩安さんが丁寧にまとめてくださっています。(http://lgbtsougi.hatenablog.com/entry/2017/05/22/142634
なお、今年度の人権教育科目010「セクシュアリティと人権」のシラバスを載せておきます。※第10回の森村さん→小林に変更
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2017.6.19 偽カミングアウトレポートについて
文責 小林和香(担当:内藤、小林)
<レポート考察>
偽カミングアウト以外の課題を選択した学生は1名のみ。残り48人は偽カミングアウトを選んだ。
私たちの講義より前に9回セクシュアリティの授業を受けているにもかかわらず、「性的志向」「レズ」「同姓愛者」といった言葉の間違いも多く散見された。今回はLGBTQ基礎編という講義を担当したが、私たちの前に何度もセクシュアリティについて基礎知識を学んでいることが前提であった。私たちはそのことを踏まえ、セクシュアリティの説明はおさらい程度に体験談などを話した。基礎知識はもう十分学んでいると思っていたが、偽カミングアウトレポートの採点をする中で、根本的な「自分自身の中にある偏見」に気付けている学生、つまり自分ごととして捉えられている人はほとんどいないことが判明した。
カミングアウトする前には、ほぼ全員が、偽なので平気だと思っていたが、思っていた以上に緊張し、不安に駆られたと書いていた。その上で、当事者がどんな想いでカミングアウトしているのか実感できたとレポートに書いてくれた。6点以上が合格点だが、ほとんど6、7点をつけた。その理由としては、カミングアウトする前に「言いたくない」「友情が壊れたらどうしよう」と不安を感じていたにもかかわらず、自身の中の偏見には気づいていないレポートが多かったからだ。偽カミングアウトをして拒絶された例は数件しかなかった。これは世間の理解が広まっているというよりかは、偽カミングアウト前に、誰を対象にするか真剣に悩み、受け入れてくれそうな人を選んでいたからだと思われる。しかし、受け入れられてよかった、偽でよかったと安堵しているにとどまり、それ以上の考察はあまり見られなかった。ほとんどの学生が『さまざまなバックグラウンドを持った人が生きやすい社会づくりのために何ができるか』という課題に対し、「差別を減らす」「学ぶ機会を増やす」「当事者に会う」といった内容が多く、具体的な提案はほとんどなかった。中でも「受け入れてあげる」「理解してあげる」「偏見がなくなればいいな」といった表現も見られ、10回の連続講座を受けていても、人の考えは簡単に変わらないのだと、レポートを採点しながら虚しくなった。
<偽カミングアウトを失敗した人について>
偽カミングアウトを失敗した人は9人。その理由は、怖かった、偽カミングアウト直前に自分の中の偏見に気づいたからなど。また、「他のマイノリティであれば偽カミングアウトできた」と答えた人は一人だけだった。自分は100%部落出身ではない、原発付近で育っていない、精神疾患がないと言えるから他のマイノリティなら偽カミングアウトができた、という人や、自分もセクシュアルマイノリティかもしれないと不安になったからできなかった、「マイノリティは受け入れられないもの」という価値観が一般的なのでどのマイノリティでもカミングアウトできなかった、などであった。
<偽カミングアウトレポートの意義>
10点満点をつけた学生は6人。その理由は、偽カミングアウトをして初めて自分の中に偏見があったことに気づいたということを考察し、その偏見をなくすためにどうすべきかを具体的に自分に問い直し、提案まで書けていたからである。偽カミングアウトをして相手に「(同性愛者だと)知っていた」と言われた人が3人いた。その際、自分自身が不快感を感じ、その時に初めて自分の中に差別心があることに気づいた、というレポートもあった。実際のカミングアウトではないのに、非常に恐怖を感じ、いろんな講義を受けてきたにもかかわらず全く理解できていなかった、という考察もありよかった。自分が偽カミングアウトをする上で不安を感じたことこそが、講義を9回も受けているのにまだ偏見があると気づかされたというレポートもあった。偽カミングアウトをすることで、机上の話ではなく、自分ごととして捉える経験をし、自分の中の偏見に身を以って気づける、また当事者のカミングアウトに対する疑似体験をすることができると考えられる。しかし、偽カミングアウトをした学生たちは事前に9回ものセクシュアリティに関する連続講座を受けており、偽カミングアウト後もセクシュアリティについて学ぶことができる環境だからこそ実施できる課題であって、安易にできるものではない。
セクシュアリティの講義における課題について>
このレポートを振り返って、一般的に開催されている1回1時間半ほどのセクシュアリティもしくはLGBTQに関する研修で「自分ごと」として捉えられる人は、ほぼいないだろうと思われる。セクシュアリティについて研修などをする立場の人は、L、G、B、Tなどの言葉の説明よりも、セクシュアリティとは何か、カミングアウトとは何かにより比重を置いて研修をすべきであると感じた。基礎知識に立ち返って、もしカミングアウトされたら自分はどんな行動をとるのか等、具体的な解決策を考えることのできるワークショップをするのもいいかもしれない。例えば、友達が家族にカミングアウトする予定だがどうすればいいかなどと相談された時に自分ならどう対応するか、など。何より「他人事ではなく自分ごと」なのだと実感してもらう工夫を凝らさなければならない。9回も講座を受けたから自分は知識があると思い込んでいる人も多かったのではないだろうか。当事者が講義の中で登壇しているにもかかわらず「当事者に会うことで偏見がなくなるのでこれから会っていきたい」と書いている人もいた。ということは、「当事者に会う」ことだけでは自分ごとだと捉えれもらえるわけではないということだと思う。2014年に行われた第二回関学レインボーウィークのパネルセッションでは、当事者ではない在校生が登壇し、カミングアウトされた経験を話してくれたシーンがあった。その際回収したアンケートには「自分と同じ立場の学生が自分より知識を持っていることについて恥ずかしくなった」というものがあったことを振り返ると、聴衆側と同じ「当事者」が登壇することも一つの効果があるかもしれない。
以下課題
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[A]家族または友人に「自分は同性愛者である」と偽のカミングアウトをすること。
※恋人への偽カミングアウトは不可。
※同性愛者以外のセクシュアリティは不可。
※偽カムアウトの相手がセクシュアルマイノリティ当事者である可能性も想定しておくこと。
※調査結果等の引用元がない場合は0点とする。
※同じ内容を書き換えた、または複製したものが見つかった場合は双方ともに0点とする。
※1000字以下は0点とする。
偽カミングアウトができた場合、
(1)自分がカミングアウト前後にどのような心境になり、感じ考えたか
(2)家族または友人がどのような反応をしたか
(3)体験を踏まえセクシュアルマイノリティを含む多様なバックグラウンドを持った人たちが生きやすい社会にするため自分に何ができるか
偽カミングアウトができなかった場合、
(1)できなかった理由
(2)他のマイノリティ(例えば在日、部落、精神疾患原発付近で育ったなど) の場合ならできたのか、その理由を同性愛の場合と比較し自分の持っている偏見はどのように作られてきたか考察する
(3)自分が持っている偏見をなくす解決方法は何か
[B]関西学院大学内のセクシュアルマイノリティに関する取り組み、歴史について調査し考察せよ。必ずいくつか課題点をあげ、他の施策(大学、行政、団体、企業の取り組みなど)と比較し考察し、課題に対する対策を提案すること。
※調査結果等の引用元がない場合は0点とする。
※同じ内容を書き換えた、または複製したものが見つかった場合は双方ともに0点とする。
※1000字以下は0点とする。